賃貸物件に入居する場合、入居者は必ずオーナーと契約を交わさなければいけません。
またこのとき交わす契約は一つではなく、さまざまな形式のものがあります。
その形式が選択されるかについては、オーナーの考えや入居者の要望などによって変わってきます。
今回は、賃貸物件における契約の種類について解説します。
賃貸物件における契約の種類と特徴
賃貸物件に入居する際には、以下のいずれかから契約の形式を選ぶことになります。
・普通借家契約
・定期借家契約
各項目について詳しく説明します。
普通借家契約
普通借家契約は、契約期限のある賃貸契約を借主と貸主の間で取り交わす契約です。
賃貸物件に入居する場合、ほとんどの入居者がこちらの契約方法を選択することになります。
契約期間は1年以上で設定され、基本的に貸主は契約更新の拒絶はできず、契約更新を拒絶するには6ヶ月以上の予告期間及び貸主側の正当な事由が必要になります。
2000年3月1日より前は、契約年数の最長は20年までとされていましたが、2000年3月1日以降は契約期間内に借主からの中途解約も可能になりました。
また普通借家契約では、解約の予告期間やただちに解約する場合に支払う金銭の額などを記した中途解約の特約を定めることが多いです。
そのため、解約を希望する場合は特約に従わなければいけません。
ちなみに普通借家契約は、借家の用途は居住用、事業用いずれでも可能です。
さらに契約成立の要件は書面や口頭による契約ともに可能、貸主が借主ともに賃料増減額請求権が認められているといった特徴があります。
ただし、通常普通借家契約を結ぶときは書面を交わすため、後々トラブルが起こるような心配は少ないです。
定期借家契約
定期借家契約は、契約で定めた期間の満了により、更新されることなく契約が確定的に終了する賃貸借契約です。
賃貸物件では、主に1ヶ月程度滞在することを目的としたマンスリーマンションなどで採用される契約として知られています。
普通賃貸借契約は借主保護のため、貸主は正当な事由がない限り更新を拒絶できないと定められています。
一方定期借家契約はそのような制約がなく、契約延長する場合には当事者双方合意のもので、再契約をする必要があります。
また締結にあたっては、契約期間を確定的に定めること、公正証書等の書面で契約することなどが要件となります。
さらに、貸主は借主に対し契約更新せずに期間満了で契約を終了することについて、あらかじめ書面を交付し説明しなければいけません。
中途解約の可否等は特約で定めことができますが、定めていない場合や認めていない場合は残りの契約期間の賃料を違約金として支払うことになります。
ちなみに、やむを得ない事情で生活の本拠としての使用が困難になった床面積200m2未満の住宅の借主に限り、特約がなくても中途解約ができるというルールもあります。
賃貸物件の契約に関するルール
前述したのは賃貸物件の契約の種類ですが、いずれの契約方法であっても従う可能性のあるルールというものが存在します。
具体的には以下のようなルールです。
・契約金
・解約予告期間
各項目について詳しく説明します。
契約金
契約金は、契約締結の際に当事者の一方が相手方に支払う金銭です。
賃貸物件における契約では、借主から物件の貸主や不動産会社に支払う費用として、以下の金銭が含まれる場合があります。
・敷金
・礼金
・仲介手数料
・前家賃
・鍵交換代
・消毒量
・保証料(家賃保証会社を利用する場合)
ちなみに、売買契約における契約金には手付金の意味合いがあり、契約金額の10%くらいを支払うとされています。
そのため、過去に不動産売買契約を行ったことがある方は、こちらと混同しないように注意しましょう。
解約予告期間
解約予告期間は、賃貸借契約に定められた解約に要する期間です。
賃貸借契約書には、解約予告期間を定めて借主からの解約が可能とする定めがあり、住宅の場合は解約の1ヶ月前が一般的です。
退去日が解約予告期間よりも短い申し入れとなった場合でも、期間相当分の賃料を支払うことで解約が可能になります。
また解約予告期間が存在するのは、貸主の損失を軽減するという背景が大きいです。
唐突な解約を許可してしまうと、その後新たな借主を募集する期間が確保できなくなり、貸主の物件における利回りは悪くなります。
つまり貸主にとって、解約予告期間は次の入居者を募集する期間になるということです。
ちなみに解約予告期間は解約の1ヶ月前が一般的と言いましたが、物件によっては2~3ヶ月の場合もあるため、きちんと賃貸借契約書を確認しておかなければいけません。
まとめ
賃貸物件の入居に伴う契約は、それほど締結するのに時間がかかるものではありません。
しかし細かい内容は物件ごとに異なるため、借主は不動産会社の説明をしっかり聞き、理解できない点については質問することが大切です。
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