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清田不動産
更新日: 2019年05月15日
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マンション管理における善管注意義務違反の判例を紹介します



善管注意義務とは、“通常期待される注意義務”のことを言います。
また善管注意義務違反とは、その注意義務を怠ることを指す言葉です。
今回は、マンション管理における善管注意義務違反の判例をいくつか紹介しますので、どんなケースが善管注意義務違反とされ、どんなケースが違反とされないのかを学んでいきましょう。

マンション管理における善管注意義務違反が認められた判例

マンション管理組合の会計担当者であるA氏は、長い間管理費の一部を使いこんでいました。
A氏が使い込んだ金額は、約5,000万円にも上っています。
これにより、管理費を使いこまれたマンション管理組合は、当時の理事長B氏、そして会計監査役員C氏、副理事長D氏が善管注意義務違反に該当するとして、損害賠償を請求しています。
結果的に副理事長D氏は善管注意義務違反に該当しないとされましたが、その他の2名は善管注意義務違反に該当するとされ、約500万円の賠償命令が下されています。
B氏、C氏が善管注意義務違反に該当した理由としては、両者がしっかりとA氏の会計業務を確認していれば、この使い込みは防げたということが挙げられます。
B氏は会計担当者であるA氏から、会計について簡単な説明を口頭で受けただけであり、実際その目で会計業務を確認することはありませんでした。
また会計監査役員C氏も、A氏が偽造した残高証明書を簡単に信用し、実際しっかり会計業務が行われているかどうかの確認を怠っていました。
一方D氏が善管注意義務違反に該当しなかった理由は、A氏の使い込みを想定し、対策を取るのが困難だったためです。

マンション管理における善管注意義務違反が認められなかった判例

上記のように、善管注意義務違反が認められ、違反した人物に賠償命令が下されたという判例もあれば、裁判の結果、善管注意義務違反が認められなかったという判例も多くあります。
いくつかピックアップして紹介しましょう。

判例①

理事長の承認を得ずに、管理会社がマンション管理組合の備品(蛍光灯10数万円相当)をマンション管理組合に売却したことについて、管理会社が善管注意義務違反に該当するとして、マンション管理組合が損害賠償を請求しました。
ただこの判例では、売却した備品が消耗品であったこと、または諸経費として予算計上されていたことから、売却の際に逐一理事長に承認を得ることは現実的ではないとされ、管理会社は善管注意義務違反に該当しませんでした。

判例②

分譲当初、マンション管理組合と電力会社の契約電力は600kWであったにも関わらず、分譲後マンション管理組合と電力会社とが協議した結果、契約電力が266kWに引き下げられたことについて、管理会社が善管注意義務違反に該当するとし、マンション管理組合が損害賠償を請求しました。
ただこの判例では、ただちに管理会社がマンション管理組合に対して、契約電力の引き下げを助言すべき義務を負うことはないと判断されています。
また管理会社がマンション管理組合に対して負う義務に、新契約の電気料金が適切になるように、また臨時費用が発生しないように助言すべき注意義務が含まれていたことも認められなかったため、管理会社は善管注意義務違反に該当しませんでした。

判例③

マンション管理組合の承認を得ず、管理会社が管理人室の机、椅子等の備品(20万円相当)を購入したことについて、管理会社が善管注意義務違反に該当するとし、マンション管理組合が損害賠償を請求しています。
ただこの判例では、仮に支出について事前に管理組合の承認を得なくとも、事後に総会で承認されれば、管理会社に善管注意義務違反はないと判断されています。

善管注意義務違反に該当するケースと該当しないケースの線引き

冒頭でも触れたように、善管注意義務とは、“通常期待される注意義務”のことを言います。
ただ善管注意義務にはこれ以上具体的な定義がなく、非常に曖昧なものだと言えるでしょう。
それでも、前述の判例を参考にすれば、善管注意義務違反に該当するケースとしないケースの線引きがある程度可能になります。
前述の判例から判断すると、善管注意義務違反に該当するケースは、“専門知識や技術がないと注意できないケース”ではなく、“一般人であれば注意できて当たり前なもの”の注意を怠っているケースだと言えるでしょう。
例えば1つ目に紹介した判例では、当時の理事長B氏と会計監査役員C氏が善管注意義務違反に該当しています。
またB氏とC氏は、“会計担当者A氏が会計業務をしているかを目で確認する”という注意をするだけで使い込みを防ぐことができたため、これは“一般人であれば注意できて当たり前なもの”の注意を怠っていたケースだと言えるでしょう。
逆に2つ目、3つ目、4つ目に紹介した判例は、どちらも“一般人であれば注意できて当たり前なケース”とは言えないため、実際に善管注意義務違反が認められていません。

まとめ

マンション管理における善管注意義務違反の判例、そして善管注意義務違反に該当するケース、しないケースの線引きなどについて解説しました。
善管注意義務の定義が曖昧なため、複雑なケースになると線引きが非常に難しくなりますが、“一般人であれば注意できて当たり前なもの”の注意を怠っている場合は、ほぼ間違いなく善管注意義務違反に該当するでしょう。